研究センターの紹介

本研究センターでは,最先端の人工知能技術と異分野との融合研究を推進する.大きく分けて以下の3つの研究を行う.

①植物分子遺伝学,スポーツ健康科学などの各分野の最先端の問題に最先端の人工知能技術を適用し,研究を加速させる.

②人工知能分野での研究の前提とは異なる異分野特有の問題を解くために,一般性を失わないように改良し,新しい人工知能技術を確立する.

③人工知能技術を人間の解析補助ではなく,科学的発見に利用する.

【研究代表者,分担者の役割】

研究代表者である堀田は深層学習や画像認識が専門分野であり,この分野の最先端の手法に常に目を払いながら,人工知能の研究を進めている.人工知能技術は日進月歩であり,毎日新しい論文がarXiv上で報告されている.最近では,研究の進歩が極めて早いため,常にアンテナを張り巡らさなければいけない状況である.理工学部の増山氏は深層強化学習が専門であり,堀田が専門とする深層学習や画像認識とは異なる方法を熟知している.そのため,異分野特有の問題を解決する際の議論に重要な役割を果たすと期待される.また,情報工学部の寺本氏は深層学習を用いた医用画像処理が専門であり,医用画像の最先端の方法を理解しているだけではなく,医用画像特有の問題とその解決策も熟知しており,人工知能技術を他の分野に応用する際に重要となる.この3名が人工知能に軸足を置く研究者となる.

農学部の塚越氏と兒島氏は植物分子遺伝学が専門であるが,既に人工知能技術を自身の研究にも利用し始めており,両方の分野の橋渡しができる貴重な研究者である.また,農学部の香村氏はスポーツ健康科学が専門でありながら,やはり人工知能に興味を示し,自身の研究に使い始めている.塚越氏,兒島氏,香村氏の抱える各研究分野での最先端の問題に対し,最先端の人工知能技術を適用することにより,各分野の研究を加速させることができると期待される.これは本研究センターの狙いの1つ目である.

しかし,人工知能の分野では大量の教師付きRGB画像を学習に利用することにより高い精度を達成しているため,異分野で抱える問題とは前提条件が一致しない場合が多い.例えば,顕微鏡画像かつ教師付き画像が少ない場合,人工知能が性能を発揮する前提条件とは異なるため,最先端の方法をそのまま適用しただけではうまく行かない.この場合には,ノイズの影響を低減しながら,少ない教師付き画像から如何に学習するかを考えなければならず,ここは人工知能を専門とする研究者の腕の見せ所である.もし一般性を失わないように改良できれば,新しい人工知能技術を確立できる.これは異分野の問題からのフィードバックにより新しい手法を確立するという本研究センターの特色の1つであり,両分野ともにWin-Winの関係を築く.

現在,人工知能は世界的にも人間の解析補助として利用されている.本研究センターは理学系研究者と人工知能系研究者が協同するという利点を活かし,人工知能によるデータ駆動での生物学的制御系の発見にも挑戦する.これは本センターだからできる新しい研究である.

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